ショートスリーパーは、訓練でなれる?
この記事の対象:睡眠を削って時間を作りたい、または「自分は短くても平気」と思っている成人(強い眠気が続く人は、下の注意も読んでください)
あなたはどれ?
2〜4行目の見分け方と「30分・7日間」は、ドパLabの整理で、短眠体質を判定する公的な基準は示されていません。厚生労働省の睡眠ガイドは、必要な時間は日中の眠気と休まった感じで探り、休日に長く寝るのは平日の不足のサインとしています。4行目は、削っている間は眠気の自覚がずれる実験があるため、眠気以外も見ます(削っていない人は対象外)。
睡眠を削って、慣れることはできる?
慣れた気がしても、頭の働きは慣れないことがあります。健康な大人に、寝床にいる時間を1日6時間にして14日続けてもらった実験があります。集中力などのテストの成績は、日がたつほど下がりました。
一方、本人の「眠い」という答えは、最初に上がったあと、ほとんど増えませんでした。本人は、成績が下がっていることに、あまり気づいていなかったということです。
生まれつきの短眠者は、いるの?
研究では報告されています。短眠の家族を調べると、睡眠の長さに関わる遺伝子の変異が見つかった例があります。ある家族では、変異をもつ2人の睡眠は平均6.25時間、もたない人は8.06時間でした(本人の答え)。こうした人は、生涯ずっと短く眠り、それでも休まった感じがある、と報告されています。
ただ、見つかったのは珍しい家族です。割合を示す確かな数字は、現時点では確認されていません。変異があっても睡眠が短くない人がいたこと、家族で見つかった変異は一般の人を大勢調べると同じほどの効果が見られないことが多かったことから、遺伝子の名前だけでは、自分が当てはまるかは決められません。
よくある疑問
- この答えは、信用できる?
- 睡眠を減らした比較実験(健康な大人48人)と、短眠の家族の遺伝子研究が根拠です。ただ、実験は14日間で、遺伝子の研究は少人数の家族が中心です。詳しくは下の「詳しい根拠を見る」へ。
- 「人口の約1%」と聞くけど、本当?
- この記事の根拠には、その数字を示す調査は含まれていません。家族で見つかった変異が、一般の人では同じ効果を示さないことが多かった、約19万人の研究もあります。
まだ研究で 分かっていないこと
- 訓練で短眠体質に変えられるかを、直接調べた研究は、現時点では確認されていません。
- 睡眠を削る生活を、何か月・何年も続けたときの頭の働きは、この実験からは分かっていません(実験は14日間)。
- 「目覚まし不要・休日も同じ・日中も眠くない」が短眠体質の目印になるかは、示されていません。
※ドパLabが本記事で確認した資料の範囲
詳しい根拠を見る(人数・条件・出典)
健康な大人48人(21〜38歳。実験全体の人数)が、寝床にいる時間を1日8時間・6時間・4時間のいずれかに割り当てられ、14日続けた。検査室で、ほかの睡眠は禁止。6時間と4時間では、すべての集中力の課題で成績が日を追って下がり、短いほど大きかった。本人の眠気の評価は、制限の直後に上がったあと、その後の上がり方は小さく、6時間と4時間を統計上はっきり区別できなかった。著者らは、本人は成績の低下に大部分気づいていなかったとみている。著者らは、14日間の6時間以下の制限で、成績の低下は最大2晩の徹夜に相当しうるとまとめている。
Van Dongen ほか 2003, Sleep(PubMed)短眠の小さな家族(変異をもつ人は2人)で、遺伝子 DEC2 の変異が見つかった。本人の答えによる1日の睡眠時間は、変異をもつ人が平均6.25時間、同じ家族でもたない人が平均8.06時間。同じ変異をもつマウスも、対照のマウスより睡眠が短かった。1つの小さな家族の結果で、一般の人にそのまま当てはまるとは限らない。
He ほか 2009, Science(PubMed)遺伝子 ADRB1 の変異(A187V)が、睡眠の短い家族で見つかった。変異をもつ人は、もたない人より1日の睡眠が平均で約2時間短かった。睡眠時間は面談での本人の答え。変異をもちながら睡眠が7時間半の人も1人いた。同じ変異のマウスは、1日あたり約55分、睡眠が短かった。
Shi ほか 2019, Neuron(PubMed)英国・フィンランド・米国の4つの集団研究、合計191,929人。家族で報告された睡眠や体内時計の変異12か所のうち10か所は、その変異をもつ人が見つかったが、調べた変異と極端な睡眠との関連は見つからなかった。著者らは、家族で見つかった変異は、一般の人から偶然見つかった場合、効果が大きくないことが多いとまとめている。
Weedon ほか 2022, PLoS Genetics(PubMed)成人は6時間以上の確保を目安とする。必要な時間には個人差があり、6時間より短くてよい人も、8時間を超える人もいるとし、自分の必要量は日中の眠気と睡眠休養感で探るよう示している。休日に長い睡眠が必要になるのは、平日の睡眠不足のサインとしている。6時間未満の睡眠で病気や死亡のリスクが高い傾向を示す研究も紹介しているが、観察した研究が中心。中学生・高校生は8〜10時間としている。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」結局、こうする
- 睡眠を削っているなら、「慣れた」と眠気の自覚だけで決めない
- 生まれつきの短眠者は、珍しい家族で報告されたもの。自分がそうだと決める基準は、現時点では示されていない
今の睡眠が足りているかを確かめる試し方は、6時間睡眠でも大丈夫な人はいる?で扱っています。
休日に長く寝てしまう理由と、月曜のきつさは、休日に朝寝坊すると、月曜がきついのはなぜ?で扱っています。
記事内の一般的な健康情報を確認するために参照した情報です。最終確認:2026.10.12
Van Dongen HP, et al. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep, 2003He Y, et al. The transcriptional repressor DEC2 regulates sleep length in mammals. Science, 2009Shi G, et al. A rare mutation of β1-adrenergic receptor affects sleep/wake behaviors. Neuron, 2019Weedon MN, et al. The impact of Mendelian sleep and circadian genetic variants in a population setting. PLoS Genetics, 2022厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」ドパLab編集部より
この記事は一般的な情報提供を目的とし、診断や治療の代わりにはなりません。確認可能な情報から、読者が今日選べる行動まで編集しています。