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たんぱく質、結局1日何g必要?

この記事の対象:「体重×1g」「体重×2g」と媒体ごとに違う数字を見て、自分は何gなのか決められない健康な成人

CONCLUSION まず結論

運動していないなら体重×約1.0g、筋トレをしているなら体重×1.2〜1.6g。まず自分がどちらかを決めてから、食事に換算してください。

今日から、これだけやればOK
  • 運動していないなら、体重×1.0gを目安にする(60kgなら約60g)
  • 筋トレをしているなら、体重×1.2〜1.6gへ上げる
  • gのままにせず、1食20〜30gの組み合わせに置き換える
01

あなたの場合、こうする

運動していない。健康を保ちたいだけ体重×約1.0g。60kgなら約60g。国の推奨量(男性65g・女性50g)とほぼ同じ。
週2〜3回の筋トレを始めた体重×1.2〜1.6g。60kgなら72〜96g。
食事を増やすのがきつい。料理をしない全部を一度に足さない。まず朝食にたんぱく質を1品足す。
減量中で、筋肉を落としたくない多めに寄せる。ただし基準が体重ではないため、この記事では上限まで出さない。
体脂肪が多い。体重が平均から大きく離れている体重を掛けない。国の推奨量(男性65g・女性50g)から始める。
腎臓の病気がある。治療中自己判断で増やさない。医師・管理栄養士の指示が優先。
02 研究から分かること

国の基準は体重を掛けない。「体重×◯」は運動栄養の言い方

日本の食事摂取基準は、たんぱく質の推奨量を「1日あたりのg」で示しています。18〜64歳の男性は65g、18歳以上の女性は50g。体重では変わりません。60kgの人も85kgの人も同じ数字です。一方、運動する人に向けた学会の推奨は「体重1kgあたり何g」で書かれています。同じ「たんぱく質の量」でも、数えているものが違います。

数字これは何の数字か誰に当てはまるか
1日 65g/50g国の推奨量。ほとんどの人が不足しない量として作られた値18〜64歳の男性/18歳以上の女性。体重では変わらない
体重×約1.0g上の推奨量を、基準にした体重で割り戻した値運動習慣のない成人
体重×1.4〜2.0g運動する人の1日の総量として学会が示すレンジ運動習慣のある人
体重×1.62g筋トレによる除脂肪量の増加が頭打ちになった点6週間以上の筋トレをした健康な成人(平均35歳)
1回 20〜40g1回あたりの目安。3〜4時間おきに分ける運動する人
13〜20%エネルギー1日の摂取カロリーに対する割合の目標量1歳以上。50〜64歳は下限14%、65歳以上は下限15%
耐容上限量設定なし。「上限を決めるだけの明確な根拠が十分ではない」ため

1.62g/kgは「ここが上限」と決まった数字ではありません。この解析での幅は1.03〜2.20g/kgと広く、頭打ちそのものの確からしさも慣例の基準に届いていません(p=0.079)。p値は統計的な確からしさの目安で、慣例では0.05未満なら「差がある」と扱います。それ以上増やしても増え方が良くなるという結果は出ていない、という位置づけです。

03 ドパLabの実用ルール

迷ったら、この順番で決める

  1. 1自分が「運動していない」か「筋トレをしている」かを先に決める
  2. 2運動していないなら体重×1.0g、筋トレをしているなら体重×1.2〜1.6g
  3. 3その数字を1食20〜30gに割る
  4. 4足りない分だけ足す。全部を一度に達成しようとしない

「体重×1.2〜1.6g」は、学会が示すレンジ(1.4〜2.0)の下側と、メタ分析(複数の研究結果をまとめて分析する手法)で頭打ちとされた点(1.62)を、運動を始めたばかりの人に合わせてドパLabが寄せた範囲です。研究がこの範囲を直接推奨したわけではありません。また、ここで挙げた数字は食事を含む1日の合計であり、サプリメントで摂る量ではありません。

詳しく知りたい人へ
04

なぜ「体重×◯」が媒体ごとに違うのか

数字が割れて見える理由は3つあります。

1つめは、目的が違うこと。「不足しないための量」と「筋肉を増やすための量」は、もともと別の目的で作られた別の数字です。同じ物差しの上で1.0と1.6を比べても、どちらが正しいという話にはなりません。

2つめは、単位が違うこと。「1日あたりのg」「体重1kgあたりのg」「摂取カロリーに対する割合」に加えて、減量中の推奨だけは「除脂肪体重1kgあたり」で書かれているものがあります。除脂肪体重あたりの数字を自分の体重に掛けると、まったく違う量になります。

3つめは、基準の作り方が違うこと。日本の基準は、統計上の中央値の体重をあらかじめ使って国が計算した結果を、gで示しています。だから読者が体重を掛ける必要がありません。ただしこの作り方は、体格が平均から離れている人ほど合わなくなります。体脂肪が多い人が体重をそのまま掛けると多く出すぎるのは、このためです。

なお、国の推奨量を基準にした体重で割り戻すと、男女ともおよそ体重×1.0gになります。よく見る「体重×1g」は、この割り戻しとほぼ一致する数字です。成人のたんぱく質の値は、食事摂取基準の2020年版と2025年版で変わっていません。

05

その g を、食事に換算する

gのままでは、何をどれだけ食べればいいか決まりません。食品成分表の値で、よく食べるものを並べます。

食品分量たんぱく質
1個(50g)6.1g
納豆1パック(40g)6.6g
牛乳1本(200ml)6.8g
ごはん普通盛り150g3.8g
食パン6枚切1枚5.3g
ヨーグルト1個(80g)3.4g
鶏むね肉(皮なし・生)100g23.3g
さけ(生)100g22.3g
サラダチキン1個(110g)26.5g
木綿豆腐2分の1丁(150g)10.5g
さば缶1缶(180g)37.6g
ツナ缶(ライト)1缶(70g)12.4g

組み立てるとこうなります。卵1個・納豆1パック・ごはん普通盛り・牛乳1本で、合わせて約23g。これが「1食20g」の形です。サラダチキン1個とごはん普通盛りなら約30g。この「1食20g」を3食続ければ約70gになり、運動していない人の目安(男性65g・女性50g)は超えます。

一方、体重60kgで1.5gを掛けた90gは、食品だけだとかなり積む必要があります。鶏むね肉100g・卵2個・納豆1パック・牛乳1本・木綿豆腐2分の1丁・ごはん3杯・食パン1枚・ヨーグルト1個・プロセスチーズ1個を合計して約84g。ここまで積んでも、まだ90gには届きません。

この記事では、そこから先にサプリメントを使うかどうかは決めません。食事の回数を増やすのか、主菜をたんぱく質の多いものに替えるのか、別の手段を使うのかは、生活のほうに合わせて選ぶ話だからです。上に挙げた数字は、あくまで食事を含む1日の合計であって、サプリメントで摂る量ではありません。

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よくある誤解

体重×1gが正解

目的によります。運動していないなら概ね合っていますが、筋トレをするなら足りない可能性があります。そもそも国の基準は、体重を掛ける形になっていません。

多く摂るほど筋肉がつく

1.62g/kgを超えたところで、除脂肪量のそれ以上の増加は確認されていません。ただしこの推定値には1.03〜2.20という幅があります。

上限が決まっていないから、いくら摂ってもいい

国は「上限を決めるだけの明確な根拠が十分ではない」として設定していません。安全を保証したものではありません。摂取カロリーに対する割合の目標量には20%という上限が置かれています。

プロテインを飲まないと足りない

運動していない人の目安なら、食品だけで届く量です。鶏むね肉100g・卵2個・納豆1パック・牛乳1本で、合わせておよそ49gになります。

歳を取ったら少なくていい

方向は逆です。65歳以上では、摂取カロリーに対する割合の目標量の下限が15%へ引き上げられています。

07

まだ断定できないこと

  • 「1.6gが上限」と決まったわけではありません。頭打ちとされた1.62g/kgには1.03〜2.20という幅があり、頭打ちそのものの確からしさも慣例の基準に届いていません(p=0.079)。p値は統計的な確からしさの目安で、慣例では0.05未満なら「差がある」と扱います。
  • 国の推奨量は「最適な量」ではありません。「ほとんどの人が不足しない量」として作られています。足りていることと、ベストであることは別です。
  • たんぱく質の耐容上限量は設定されていませんが、それは安全が確認されたからではありません。国は「上限を決めるだけの明確な根拠が十分ではない」と述べています。
  • 腎臓への影響は、「腎臓の病気がない人」で「4日を超える期間の試験」までしか確認されていません。長期の影響は分かっていません。
  • 体脂肪が多い人に、体重をそのまま掛けてよいかは確立していません。除脂肪体重を基準にすべきという指摘がありますが、具体的な換算式はこの記事では示していません。

ドパLab編集部より
研究が直接示した結果と、それを日常の優先順位へ変換したドパLabの実用ルールを分けて掲載しています。特定製品の効果や購入を推奨する記事ではありません。