夜、部屋の照明はどこまで暗くする?
この記事の対象:夜も天井の照明をつけたまま過ごしていて、寝つきが悪いのは画面のせいだと思っている成人
今夜、どこから手をつける?
上から順に、効きやすい順です。全部やらなくて構いません。
研究・公的資料から分かること
国際的な専門家会議は、日中は目の高さで250ルクス以上、就寝の3時間前からは10ルクス以下、眠る環境は1ルクス以下を推奨しています(いずれも光の色を織り込んだ melanopic EDI という指標)。別の研究では、18〜30歳の55人に夕方から5時間ずつ光を浴びてもらい、グループ全体でメラトニンが半分に抑えられた明るさは24.6ルクスでした(こちらは照度計で測るふつうの明るさ)。
夜の明るさで、体内時計はどれだけ後ろへずれるか
18〜30歳の55人に、夕方から5時間ずつ違う明るさを浴びてもらった研究です。メラトニン(眠気を知らせるホルモン)が出はじめる時刻が、どれだけ遅くなったかを測っています。
つまり、部屋を少し明るくしているだけで、眠気が出る時刻が1〜2時間うしろへ動きうるということです。この表のルクスは照度計で測るふつうの明るさで、冒頭の推奨値(melanopic EDI)とは別の物差しです。数字が同じ「10」でも、同じものを指してはいません。またこれは18〜30歳の55人・5時間の曝露での結果で、すべての人に同じだけ起きるという意味ではありません。
ドパLabの実用ルール
ドパLabは、ルクスを測るより「天井照明を消す」を先にやることを勧めます。明るさを数字で管理するには照度計が要りますが、部屋でいちばん強い光源はたいてい天井にあります。まず消して、手元のあかり1つにする。この置き換えは、この読者層でいちばん実行コストが低い一手だと考えています。これはドパLabの整理で、研究が順番を決めているわけではありません。
迷ったら、この順番で消す
- 1寝る3時間前に天井の照明を消す。ここがいちばん強い
- 2残すのは手元のあかり1つ。目へ直接向けない
- 3寝室の光る機器を目から外す(充電ランプ・時計・常夜灯)
- 4夜中に動く用の明かりは消さずに弱くする。転倒のほうが危ない
この順番はドパLabの整理です。研究が順番を決めているわけではありません。
なぜ「10ルクス」なのか
国際的な専門家会議が2022年にまとめた推奨です。日中は目の高さで250ルクス以上、就寝の少なくとも3時間前からは10ルクス以下、眠る環境は1ルクス以下、夜中に見える必要があるときは10ルクス以下。いずれも melanopic EDI という、光の色(波長)を織り込んだ指標で示されています。同じ「ルクス」でも、家庭用の照度計が表示する値とは意味が違うので、この記事では厳密な測定ではなく目安の桁として使っています。
室内の明るさは、実際どれくらいか
目の高さで明るさを測った調査では、人工照明ひとつの部屋が14ルクス、人工照明が複数ある部屋が209ルクスでした。大きな窓のある部屋は昼で430ルクスです。つまり、ふつうの部屋の照明は、研究で体内時計がずれた10〜50ルクスと重なる範囲にあります(この2つはどちらも照度計で測るふつうの明るさで、冒頭の推奨値とは別の物差しです)。この調査は北緯17度のインドで行われたもので、日本の値そのものではありません。
よくある誤解
部屋の照明そのものが、体内時計に届く明るさです。研究で使われた10〜50ルクス(照度計で測るふつうの明るさ)は、実際に測られた室内照明の範囲と重なります。画面だけの問題ではありません。
暖色にすること自体は理にかなっています。推奨で使う melanopic EDI は、光の色を織り込んだ指標だからです。ただし推奨されているのは色ではなく目に届く量なので、暖色でも明るければ超えます。
同じ明るさでも、メラトニンが半分に抑えられる値は6ルクスから350ルクスまで開いていました。寝つけるかどうかと、体内時計がずれるかどうかは別の話です。
推奨は就寝前で10ルクス以下、眠る環境で1ルクス以下です。ゼロを求めてはいません。夜中に見えないほうが危険です。
よくある疑問
- 何ルクスかは、どうやって測るのですか?
- この記事では測ることを勧めていません。推奨値は目の高さの垂直な面で測るもので、家庭で同じ条件をつくるのは簡単ではないからです。測るより、天井照明を消すほうが確実です。
- 常夜灯はつけたままでいいですか?
- 眠る環境の推奨は1ルクス以下です。つけるなら、光が直接目に入らない位置と向きにしてください。夜中に動く必要がある人は、消さずに弱くするほうが安全です。
- 遮光カーテンは必要ですか?
- 今回確認した推奨は、部屋の中の光の量について書かれたものです。外からの光が眠る環境の明るさを押し上げているなら、遮る意味はあります。ただし朝の光は体内時計を前へ動かすので、朝は取り込めるようにしてください。
- 3時間前というのは厳密ですか?
- 推奨は「就寝の少なくとも3時間前から」という書き方です。3時間ちょうどという意味ではなく、それより早く始めるぶんには問題ありません。
- 昼間の過ごし方は関係しますか?
- 関係します。厚生労働省の資料は、昼間に明るい光を浴びると夜のメラトニンが増えることを挙げています。夜を暗くすることと、昼を明るくすることは別々に効きます。
この記事が言えないこと
- 表の数字は、18〜30歳の55人に5時間ずつ光を浴びてもらった研究の結果です。年齢の違う人や、曝露が短い場合に同じだけ起きるとは限りません。
- この記事には物差しの違う「ルクス」が2種類出てきます。推奨値(10・1・250)は melanopic EDI という光の色を織り込んだ指標、研究の実験条件と室内の実測(10〜50・14〜430)は照度計で測るふつうの明るさです。数字が同じでも、同じ量を指してはいません。この記事では桁の比較として扱っています。
- この記事は体内時計のずれを扱っています。照明を変えれば寝つきがよくなる、と言えるだけの根拠は今回確認できませんでした。
- 「天井照明から先に消す」という順番は、ドパLabが実行しやすさから決めたものです。研究がその順序を比べたわけではありません。
結局、こうする
- 寝る3時間前に、天井の照明を消す
- 残すのは手元のあかり1つ。目へ向けない
- 眠るときは光源を目から外す。夜中に動く明かりは残す
夜を暗くしたら、次は朝です。ほとんど外に出ない生活、太陽は何分浴びればいい?で、光を浴びる側を扱っています。
記事内の一般的な健康情報を確認するために参照した情報です。最終確認:2026.09.14
Brown TM ほか「Recommendations for daytime, evening, and night-time indoor light exposure」PLOS Biology, 2022Phillips AJK ほか「High sensitivity and interindividual variability in the response of the human circadian system to evening light」PNAS, 2019Bhandary SK ほか「Ambient light level varies with different locations and environmental conditions」PLoS One, 2021厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)「快眠と生活習慣」ドパLab編集部より
この記事は一般的な情報提供を目的とし、診断や治療の代わりにはなりません。確認可能な情報から、読者が今日選べる行動まで編集しています。